第4回(最終回)ではDX推進の鍵とクラウド活用のメリット、そして井川氏のこれからのビジョンについてお話を伺った。
ベンダーインタビュー2022年6月号/株式会社フリップロジック井川氏 #1
ベンダーインタビュー2022年6月号/株式会社フリップロジック井川氏 #2
ベンダーインタビュー2022年6月号/株式会社フリップロジック井川氏 #3
DX推進の鍵は社内のITリテラシーをいかに高めるか、DX推進に必要なカルチャーづくりから始める
——DXの推進の鍵はどこにあるとお考えでしょうか?
色々な所でも言われていますが、最大の課題は「社内のITリテラシーをいかに高めるか」
僕はここに尽きると思います。
そのためには、まず経営陣が「DXを推進する」というマインドを強く持つ必要があります。そのDXというのは言葉だけではなく、自社に合ったDXとはいったいどんなものか?その目的やロードマップを明確にした上で計画や大枠をある程度決めておく必要があります。
ここからさらに細かく現場との調整をするために、DXのマネージャー等担当者や責任者を設けることも大切だと思います。
経営者が直接現場の指揮を執るのはなかなか難しいのではないでしょうか。
専任者をしっかりと置き、経営者と専任者間でしっかりと意識共有し、専任者が今度は現場に対して丁寧に説明しながら広げていく。そういうプロセスが大事だと感じます。
現場には、何のためのDXか?その目的意識をきちんと共有し、全スタッフに理解してもらい協力してもらう。それが正しく行われないと必ず反対勢力が発生します。
これは間違いないです。
なぜ反対勢力が生じるかというと、今まで通りのほうがずっと楽だからです(笑)
生みの苦しみを乗り越えるために、このDX化によってどれだけ効率化を図ることができ、その先自分たちがどれだけハッピーになれるかという意識を持ってもらって、自ら率先して進めていくという風土作りが重要なんだと思います。そのために、専任者にはITに対して明るい方が必要になるわけですね。
ただ、その様な専任者の確保が難しい場合も当然あると思います。そうなってくると大事なのは、外部の方となります。
DX化のコンサルティングをやってくれる「良きパートナー」が見つかると意外とスムーズにいくはずです。いいコンサルタントは良い意味でのベンダーとの繋がりもあります。ベンダー側のいいも悪いも様々な情報を提供してもらえるものだと思います。
ただ、DXというワード先行で、「変革=全部ぶち壊し」という考えの方は要注意です。
コンサルタントの中には、とにかくこれまで築いてきたものを「一旦全てぶち壊しましょう」という発想の方も実際にいます。これは、大変リスクのある考え方だと思います。これまでの流れを全て無視すると後で大きな歪みや問題が生じることにもなります。
すごく乱暴な言い方ですが、そのDXプロジェクトがたとえ失敗したとしても、基本的に外部のコンサルタントの方は責任を問われません。失敗すると、いろいろ負担が大きくなるのはそのDX化推進を行う会社側です。
会社とDX化を推進するためのパートナーさんの間でしっかりタッグを組める相手を見つける事が肝と言えると思います。
いいパートナー探しはDX推進の鍵になると僕は思いますね。
高速レスポンスとクラウドネイティブのパッケージシステムでありながらカスタマイズにも対応可能
撮影場所: 株式会社フリップロジック本社/写真撮影: Hisabori Shunsuke
——flamを他所のベンダーの販売管理システムと比較したときにどのような違いがあるかを教えてください。
「高速レスポンス」と「使いやすさ」が一番大きなポイントじゃないかと思っています。あと、多くのクラウドサービスの場合、カスタマイズ対応という事が比較的苦手な分野であると思いますが、flamではカスタマイズを柔軟に対応させていただいているというのが他社サービスとの大きな違いだと考えています。あとはクラウドネイティブなところですね。
テレワークシフトに対応できるのはクラウドならでは。データ資産を社内で管理しなくて良いという利点も
——クラウド活用のメリットを教えてください。
多様な働き方に対応できるのはクラウドならではだと思います。
昨今のコロナ禍を考えると、会社へ行って業務をするというところから、テレワークにシフトする企業が増えており、以前よりもテレワーク化に抵抗がなくなってきたのではないかと感じています。そのような働き方に対応できるのは、やはり従来型のオンプレシステムではなく、クラウドサービスを活用しているからです。
テレワークに対応できる他、BCP対策にも繋がります。クラウドでデータが管理される事で、データ資産とハードウェア資産を社内で管理する必要がなくなります。そこは非常に大きなメリットだと考えています。目に見えにくいところですが、ハードウェアとソフトウェアのメンテナンスのための専任担当者が不要になるという事も大きなメリットです。
導入スピードも早く、導入決定から本稼働までの導入期間の短縮にも繋がります。
——まさに極論を言えば、明日から使おうと思えば使えるツールも多いですね。オペレーションが複雑でない場合で、flamも標準機能だけで十分ということであれば、すぐに使い始めることもできるかもしれませんね。
積極的に連携に取り組む。必要に応じて、競合他社製品との連携も視野に
——次に、API連携や外部連携について意見をお聞かせください。
もう一言です。
連携できる他社サービスがあれば、積極的に連携していきたいと思っています。
ただ、どういう形でやるかというのはその都度、相談になります。
私達は、他のサービスと連携せず、flamだけで完結するような考えは一切ありません。どんなサービスとも場合によっては、競合他社さんの在庫管理システムと連携することも視野に入れているくらいです(笑)。それくらい積極的に外部連携には今後取り組んでいきたいと考えています。
先ほどのDXの話ではないですが、デジタル化で効率化、自動化を実現しようとすると、当然様々なサービスとの連携が必要になります。その点を考慮すると、もはや避けて通れない課題だと認識しています。
——マストマターということですね。ただいつも思うことは結局、連携先のベンダーありきなことが多いのが課題だと感じています。「APIは公開しているんで」と開発は外部ベンダー任せのような点も多くあると感じています。この点については、多くのベンダーの皆さんとタッグを組んで取り組んでいきたいことですが、なかなかムーブメントが起きにくい状態ではないでしょうか。
クラウドサービスって、実際は各々のサービスは結構小ぶりなものが多いと思います。小ぶりだからこそ、やはりお互い門扉開いて積極的に連携する事が望ましいんですよね。
ただ、システムの連携については現場現場でニーズは様々ですので、どう標準化して皆さんが簡単に連携できる様にするかは今後の課題ですね。
——API連携の代表的なものとして、クラウド勤怠管理システムとクラウド給与システムの連携があります。実際、API連携の設定を見ると経験がない方には自分らで設定するのは正直難しいと感じています。
そうですね。そのあたりはやはり専門家が入らないと、なかなか難しいですね。だから、API連携もRPAもあるので、連携の方法は複数の選択肢を考えていきたいと思います。
大切なのは連携の目的。なぜ、いつ、どれだけ連携するかによって選択肢は異なる
——確かに、用途によってはCSVによるバッチ連携でも良いかもしれませんね。
要は目的なんですよね。なぜ連携するか、いつ連携するか、どれだけ連携するのかというようなことを明確にすべきです。そこがうまく見えると、コストをかけてAPIで作り込むのではなく、別の方法が良いということにもなるかもしれません。もっと安価に済ませるやり方もあるでしょうし。
——RPAもだいぶ安価なものが出てきましたしね。ありがとうございます。
目指す先はICT業界の「梁山泊」
撮影場所: 株式会社フリップロジック本社/写真撮影: Hisabori Shunsuke
——それでは井川さんの今後のビジョンをお聞かせください。
あまりかっこいいことは言えませんが、販売管理システムとして、flamは信頼度ナンバーワンのサービスを目指したいと思っています。そのために、企業のバックオフィスの効率化・自動化を実現してまいります。
企業としては、ICT業界の「梁山泊(りょうざんぱく)」を目指します。
少数精鋭で、各々が常に最新の技術を追いかけ、高いスキルとプロフェッショナルなマインドを持っている組織を作ってまいります。
——ありがとうございます。非常に楽しみです。それでは最後に今後flamをご検討頂くユーザーに対して何かコメントをいただければと思います。
今までいろいろお話させて頂きましたが、
flamは日々チューニングされています。
機能も向上しています。
極端に言えば、昨日のflamよりも今日のflamの方が使いやすく、
今日のflamよりも明日のflamの方がもっとよくなっています。
そういうチューニングやバージョンアップを常に行い、今後もそうあり続けます。
ぜひ、一度その目でflamを体感いただきたいと思います。
今ご契約いただいているお客様については、今後もどんどん発展していくので楽しみにしていただきたいです。
リリース直前の新たな機能も多くあります。
相当バス停に並んでいるお客さん状態になっていると思ってください(笑)
次々と新しい機能をリリースしていくのでご期待ください。
——井川さん、ありがとうございました。
撮影場所: 株式会社フリップロジック本社/写真撮影: Hisabori Shunsuke
井川 隆志 (イカワ タカシ)
株式会社フリップロジック代表取締役CEO。様々な業種業態の中小企業向けにクラウドネイティブの クラウドの販売管理システム「flam」を展開。大手電機メーカー向けのFAの仕事に経験した後、システム会社で開発に従事。その後、2005年5月にフリップロジックを設立。
CLSデジタルラボ6月号では、株式会社フリップロジックのCEO井川氏に話を伺った。クラウドネイティブな販売管理システムを開発し続けてきた井川氏の中小企業のDXに対するお考えや、組織作りは大変勉強になりました。この度はCLSデジタルラボのベンダー特集企画にご協力いただき、ありがとうございました。
:井川隆志 (株式会社フリップロジック)
監修協力:株式会社フリップロジック
取材・撮影:久堀駿介 (株式会社cloverS)
編集:CLSデジタルラボ編集室 (株式会社cloverS)
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