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特集

ベンダーインタビュー2022年4月号/freee株式会社高岡氏 #1

 

2022年4月号ではバックオフィスのクラウドERP、freee会計、freee人事労務でおなじみのfreee株式会社の高岡氏に話を聞いた。

第一週目では高岡氏が何故freee株式会社で働き始めたのか、freee株式会社はどんな組織なのかについて詳しく伺った

 

撮影場所: freee株式会社本社会議室/写真撮影: Hisabori Shunsuke

 

——本日は宜しくお願い致します。まずは自己紹介をお願いします。

freee株式会社の高岡と申します。パートナー事業部パートナーサクセスチームに所属しており、士業向け、主に会計事務所向けのチームでサポートや営業活動を行っています。私が所属しているパートナー事業部とは別に、ユーザー事業部という部署があり、そちらではユーザー様に向けて直接提案をし、導入までサポートをする部署になりますが、私が所属しているチームは会計周りが中心となっており、専門的な知識が必要になるため、アドバイザー(主に税理士のパートナー様)の協力を仰いで「一緒にfreee会計を普及しましょう」「きちんと使いこなしてもらいましょう」というところを中心に価値を届けようというミッションを果たしています。

2019年11月に前職からfreee株式会社に転職しました。コロナ禍に入る少し前ですね。前職ではグループウェアを扱う会社で営業をしていました。国内で比較的大きなシェアのある会社で自治体や官公庁でも広く使われているような製品でした。大学時代は機械工学を専攻しており、もともとIT系というわけではありませんでしたが、社会人になってご縁があり前職に入社しました。働き始めて感じたことは「結構ITが好きだな」ということでした。前職ではパッケージのシステム販売が中心でオンプレミス型、クラウド型のいずれも扱っていました。お客様からの要望でサーバーやネットワーク関連の相談まで広くお受けしました。要件をクリアするために幅広い知識が求められましたが、ITについて学ぶことが自分に合っていたようで苦にはなりませんでした。

 

自分が目指すSaaS像にマッチしていたのがfreee

 

——freee株式会社で働き始めた経緯を教えてください。

「IT業界が面白い」と思って働いていたのですが、5年半程度勤務する中で、自分が目指しているSaaS像みたいなものが徐々にできあがってきました。特に元々がオンプレミス型のパッケージ製品は最適なSaaSを目指すことがかなり難しいと感じていました。部分的に改修をすることが非常に困難だったりするケースがあります。世の中のクラウドツールを比較すると、割と容易にちょっとしたアップデートで一部の表示を切り替えたりすることができるのですが、パッケージのオンプレミス型由来のシステムだとちょっとした変更でもアップデートモジュールを大幅に行うことが多いので、細かなアップデートを繰り返し行うことは非常に困難です。大型アップデートを定期的に行うことになるのですが、1度のアップデートでユーザー様に大きなコストを負担してもらう必要があるといった問題が発生します。そういった場合は本来のクラウドサービスを求めるお客様のニーズを満たすことができていないと感じていました。他にも気になる点があり、何か自分が目指しているSaaSではないと頻繁に感じるようになりました。例えばAPIもそうですね、オープンプラットフォームを謳うベンダーが増えている中で、当時扱っていたソフトウェアはそういったことに取り組めていないだけでなく、SaaSのトレンドに対する危機感が弱かった印象がありました。そのような経緯があり、私が目指したいところと、扱っている商材の会社のベクトルがずれてきたなと感じたことが転職を考えたきっかけです。転職サイト経由でfreee株式会社の面談を受ける機会がありました。freee株式会社自体はずいぶん以前から知っていたプロダクトで、僕が目指してるようなプロダクトの育て方やあり方が非常に近いなと感じていました。たまたま運よくfreee株式会社から声をかけてもらうことができ、何度か面談をしてもらうことができました。他所のベンダーとも面談をする機会はあったのですが、特にfreee株式会社のメンバーは対等に話をしてくれている印象が強かったです。面接の場合はどうしても会社側が人材を選ぶケースが多いのですが、面接をしてくれたfreee株式会社のメンバーは「自分がどういう人間か」を話してくれた上で、「あなた(高岡さん)のことを聞かせてください」という姿勢でしっかりと向き合ってくれたことに非常に好感が持てました。面談の中でディスカッションのような形になったこともあり、「面白い。この人たちと一緒に働きたいな」という感覚が自然に持てたのがfreee株式会社でした。他社の選考も一部進んでいたのですが、freee株式会社の選考が進むに連れて、freee株式会社に採用されなければ、転職活動を一旦見送ろうと思うようになりました。

実際、freee株式会社からのオファーメールをもらったその日のうちに上司に退職の意向を伝えました。今思えば、freee株式会社での雇用条件すらまだ聞いていませんでした。(笑)

——大胆ですね。(笑)

独身ということもありますが、行きたいところに行ってみたいという意志が強かったですね。

 

既存の在り方に合わせるのではなく、本当にあるべき姿を考える

 

——高岡さんから見て、freee株式会社のどこが一番魅力的に写ったのでしょうか?

そうですね。既存のあり方に対して合わせてしまうようなソフトの作りは間違ってはいないと思いますが、つい選択しがちです。前職のソフトウェアでいくと自治体向けに提供していたこともあり、正にそういった側面がありました。既存の在り方に対して多くの場合、言葉を変えただけで済ませてしまっていることがありました。当時は正直、それは本当に価値があるのか?と疑問を感じていました。freeeの場合はそもそもの既存のあり方をもちろん大切にしつつも、「本当にあるべき形とはどういうものだろう?」という議論を行っています。freeeの中の価値基準で”理想ドリブン”という言葉があります。理想ドリブンかリソースドリブンかを問われたときに、まず理想ドリブンを掲げて、そこから逆算してできることをやっていこうとするカルチャーがあります。特に『freee会計』の話でいくと、単に仕訳処理という考えではなく、「取引」という概念を扱っています。これは今のあり方の否定(否定しているつもりはないのですが、一部の人から見たら否定されていると捉えられるかも知れない)ですし、それが社会の進化を促す上で、「これが正しいと考え抜いた答えであり、そしてそれを提供している、あるいはそれが提供できるようにすることに取り組んでいる」印象が特に輝いていました。本質的に価値があると思ったことに対してチャレンジしている社風に惹かれました。

 

撮影場所: freee株式会社本社会議室/写真撮影: Hisabori Shunsuke

 

コーポレートミッションよりもインパクトがあったプロダクト

 

——確かに私も、freeeプロダクトは固定概念を壊している印象があります。例えば、かつて初めて『freee会計』に触れたときに、既存の会計システムとはだいぶ異なるなと感じました。特に決済・未決済の考え方とかですね。

”決済・未決済”の考え方は正にそうですね。私はすごく好きです。少しつけ加えるとすればfreee株式会社では「スモールビジネスを、世界の主役に。」というコーポレートミッションを掲げています。私ももちろん共感しているのですが、個人的にはそれよりもプロダクトに対する想いが前にあり、プロダクトのあり方とか方向性に惹かれたところが強くあります。どちらかというと社内ではマイノリティですね(笑)。freeeでは「スモールビジネスを、世界の主役に。」のコーポレートミッションに惹かれて入社するメンバーが多いのですが、私の場合は入社してから共感しました。

 

真後ろには代表のデスク。管理者は「ジャーマネ」として部下をサポートするフラットな組織

 

——高岡さんが働いてるfreee株式会社はどのような組織でしょうか?

様々な特徴があるのでどこをお話しするか悩みますね。手前味噌ではありますが、好きなところが結構ありまして、最近特に感じるのは、入社してから2年半経過した今でもずっとフラットな組織だなということです。わかりやすい例をあげると、私が働いているオフィスでは、自部署のデスクの後ろに代表のデスクがあります。日頃からそこで代表がミーティングをしています。一般的な会社では経営層の話を社員には聞かせないようにすることが多いと思いますが、当社では積極的に情報を開示しています。役員会議で語られている内容等(もちろん公開範囲は選択されていますが)可能な限り広く、情報を共有する文化があります。経営方針や会社が考えていることが週次で共有されています。目指している方向性や会社の経営陣が今考えていることが、社員や下には伝わっていないことはどこの会社でもあると思います。freee株式会社では経営層が考えていることを共有し、それを「みんなで共感して一丸となって一緒にやっていこう」というところにすごく注力していると思います。実際に働いていて、そういった文化が浸透していると感じます。あとは上下関係がとてもフラットですね。マネージャーという中間管理職のポストがありますが、「マネージャー」ではなく、「ジャーマネ」という風に社内では呼ばれています。このジャーマネは、上に立って指示を出すような立ち回りというよりも、芸能界でいうマネージャーに近いイメージの存在です。タレントさんがいてマネージャーが裏方で支えるというように当社の「ジャーマネ」も部下をサポートする立場となっています。支援者みたいな考え方ですね。

 

 

——単なる中間管理職ではなく、運動部のマネージャー的な存在ということですか?

そうですね。サポーターというより伴走支援者やよき理解者というニュアンスが含まれています。この考えもすごく好きです。それが建前ではなくて、みんなが実践できているところがすごく良いと感じます。もちろん実態としては、中間管理職としての業務や役割を果たすことが求められていると思います。やるべきことはやり遂げなければいけない側面を持ちつつも、メンバーと接する際はジャーマネっていう親しみのある距離感で接する。ある種のダブルスタンダードですね。そういうことができる人が当社でマネージャーを任されているのだと思います。

 

ベンダーインタビュー2022年4月号/freee株式会社高岡氏 #2へ続く

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