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特集

ベンダーインタビュー2022年3月号/jinjer株式会社三浦氏・上田氏 #3

 

※本特集は株式会社cloverSによる企画を元に、jinjer株式会社様からご提供頂いた記事を掲載しております。

 

第3回では中小企業のバックオフィスが抱える課題、そしてDX化を進めるに当たって今後求められるていることについて話を聞いた。

ベンダーインタビュー2022年3月号/jinjer株式会社三浦氏・上田氏 #1

ベンダーインタビュー2022年3月号/jinjer株式会社三浦氏・上田氏 #2

 

全体最適やオールインワンのサービスが求められる時代

 

——今世の中のニーズはどういったところにあるとお考えですか?

上田:ペーパーレス化のニーズやカスタマイズ性、拡張性が高いサービスが求められていると感じています。今の自社の運用が複雑なので、対応できる設定が組めるかどうかや、今後どうなっていくかわからないので、変化に順応できるサービスを求める傾向があるため、カスタマイズ性はご要望としてあがることが多いと認識しています。データサイエンスを活用するためのBIツール機能を求める声もあります。これまでの人事労務周りの業務改善だけではなく、もう一歩進んだような、全体最適を考えたサービスや、オールインワンのサービスが必要だと感じています。あとは実際のお客様の声の中には使っているシステムを見直したいものの、どのように変えるべきか、何をしたら良いかわからなくて結局動けていないといったことも多いです。何かより良いサービスに変えたいということは、何らかの課題感は既に持っているのではないでしょうか。実際、導入を検討されるお客様の中には、様々なサービスを部分最適で既に取り入れていることも多く、連携ができていなかったり、「手修正が入るので困っています」といった相談があります。SaaS系のサービスは、どこの企業様でも2〜3、多くて10ツールほど入れてるのが一般的です。しかし、部分最適で導入したツールは、そのツール間での連携に制約や限界があると考えます。ここを変えると別のシステムに影響が出るので怖くてできないといったお声は多いです。

 

写真提供:jinjer株式会社

 

属人化を脱却し、誰でもできる仕組みの必要性

 

——中小企業のバックオフィスでは主にどのような課題が存在しているのでしょうか?

上田:大きく分けて3つです。

一つ目が部署・部門ごとの縦割り構造によって横連携ができず、そこに付随するオペレーションを分けなければならない、あるいは一緒にはできないといった状況が多いと思います。業務が分散しているので、二重に行われていることが多く、業務の無駄が発生しているケースが課題としてあげられます。

二つ目が属人的な作業が多く存在しているケースです。特にPC上のデータが場合によっては個人のPCのフォルダでしか保管されず、共有されていない。引継ぎで苦労したり、表計算の関数がデータを処理した人間によって異なり、複雑化していることがあると感じます。重要なデータファイルが属人的に作られることは多いです。

三つ目は、このように作られたデータが社内で点在しており、情報が集約できていないことがあります。システムにデータをインポートする際も一部のデータが漏れていたり、一度取り込んだデータは消したいけど抜け漏れがあるので、前データをずっと残しているケースもあると思います。いつの間にかデータファイルが点在してしまい、情報が正しく管理されていないことがあります。

三浦:上田があげた中で、特に二つ目が企業の課題として大きいと思っています。担当者にはできる処理ですが、担当者がいなくなった後に誰かに引き継ぐのはちょっと難しい。なのでシステム化して属人化を脱却したいという危機感を持っているお客様は意外に多いです。その中で、できるだけわかりやすく、簡単に作業ができる状況にしておきたいという相談が多くあります。マルチBCP対策にも関わるかもしれないですけど、何か突発的に人がいなくなった時とか、災害で今までのオペレーションが機能しなくなる時等にも対応できる仕組みを構築することはすごく重要ですね。できるだけお金と費用を割かずに、誰がやってもできる環境を作る、作っておくことが中小企業の課題としてあると思います。

 

写真提供:jinjer株式会社

 

最適な提案ができるベンダー営業の必要性

 

——中小企業でIT化が進まない要因はどこにあるとお考えでしょうか?

上田:業界が難しくて見えづらい、かつスピードが速くて移り変わりが激しいことが要因の一つと考えます。例えば来年度のために今システムを比較検討している場合、翌年いざやろうと動く際には、昨年とは状況が異なっていることがあります。先が読めず「システム変更はもう1年待とう」と検討が先送りになり結局意思決定ができない、意思決定がしにくいといったことがあるのではないでしょうか。変化の激しい業界なので、正しい提案や最適な提案ができるベンダーの営業担当者が少ないというのも大きな課題だと思っています。お客様やユーザーに十分に価値が伝わらない状況があるのではないでしょうか。

——課題はユーザー側だけじゃないってことですね。面白い視点だなと思います。

三浦:今の要素は結構強いですね。その他の課題として、多分IT人材が社内に少ないという点と、コスト面での理解が得られていないことがあると思います。事業経営している私の家族からの意見で「お前らの営業は、さもIT化することが正しいよね。って危機感あおってくるけど、俺全然そう思っていないから」と言われたんです。その際に「実際にIT化するコストと現在のオペレーションを回すコストを比較した時に月々のコストをかける必要性って果たしてどれくらいあるのかを考えると正直懐疑的である」と言われた時にそういう意見もあるんだな、と気づかされました。導入に至らないケースのほとんどは、このパターンが多いのかもしれません。実際、先方の意思決定までは見えないので、担当者から断られると理由までは詳しく聞けないことが多いのですが、コスト面から社内決裁が取れない担当者も多いと思っています。

確かに我々が担当しているジンジャー給与だけで見てみると、多分パッケージのオンプレミスの買い切りの給与計算システムの方が安価に済むのは事実だと思います。単純なコスト比較をすればどう考えても経営者からしたら、「月1〜2万円かけるくらいなら買い切りのシステムを10万円程度で購入する方が良いじゃないか」という意思決定になることは非常に多いと感じます。そういったケースに対し、ベンダーとして伝えたいことは山ほどあります。月次の作業がどれほど楽になるかとか、いろんな情報を蓄積できるので今後様々な活用が考えられるとか。ただ現段階では価格弾力性が高すぎて、そういった機能面の良さがわかった上でも、価格面で勝てないことは多いと思います。

——価格がネックになるケースはどういった形で理解を得るのでしょうか?

上田:ここでも属人化を脱却するためには導入が必要という話をすると刺さる方には刺さります。「もしあなたが病気とか交通事故になった時に業務を存続できますか?」という問いかけをしています。リスクを考えると、今のやり方は変えた方が良いよねという展開はあります。「単純な費用比較だけではないですよ」ということを強調します。

三浦:費用対効果の論点から外れないと難しいですね。世代交代を控えた企業様では息子さんに引き継ぐ時にどのような形にしておくことが良いか?という議論をするとやはり持続的ではないですよね、とご納得頂けることはあります。経営者の御身内が処理をしているケースだと、あまりその作業を経営者がコストとしてとらえていないケースもあり、「システム化に取り組むとシステムのコストに加えて、新しいことを覚えたり従業員に任せるためにまた別の経費が発生するよね、今の状態なら身内がやるからコストはかからないよね、それなら今のやり方をやり続ければいい」という風になりがちなので、どれだけその状況がリスクを抱えているかということをきちんと理解していただく必要があると思います。

 

データサイエンスの活用と企業の発展と改革

 

——お二人が考えるDXとはどのようなものでしょうか?

上田:大学院に在籍していた時に戦略コンサルの企業とDXについて共同研究をしたので、DXについては語りたいことが結構あります。

DXの定義と重複するところがありますが、「単なる業務改善ではなくて、データサイエンスを活用し、企業や業界の推進促進発展、改革をする」ことだと思います。そしてここからもう一歩進んで、より良い働き方を促進したり、GDPの向上、そして社会経済の向上だとかこういうところを目指すといったことがDXだと思っています。ただ実際、今の日本で謳われているDXのほとんどが、「業務改善」だけに注目したものが多いです。「IT化=DX」というような認識はやはり少し違っています。マンパワーで生産性を上げる時代ではないことは各企業の経営者が薄々感じていることだと思います。DXという言葉が流行りだしたこのタイミングでIT化しようという動きはあるのですが、それだけでなくもう一歩踏み込んで、少し広い視野で見てほしいですね。DXを推進していくフローで考えると、第一段階は「ITツールを導入して業務改善をする」そこから第二段階として、例えば「蓄積した統計データを分析して経営戦略に反映させる」といった取り組みになると思うのですが、ITツールを導入して業務改善ができて満足してしまうケースが多いので、一段階目で止まっている傾向にあります。もしくは一段階目すら取り組めていない企業が多い印象を持っています

我々は二つ目の、より経営戦略に反映させていく本来の意味でのDXを推進できるようなツールを提供し、活用支援をしていくべきなのかなと思っています。

三浦DX推進室などを設置している企業様でも、実際のところ本当に推進できている企業は少ないのではないでしょうか。そもそも全てをシステム化し、効率化できるほど日本の会社はドライな組織構造をしていないと考えています。システム化してインパクトのある目に見えた改善が出せるほど、土台が出来上がってない会社がほとんどだと思っています。特に中小企業は会社特有のルールや事情があると考えていて、例外的な運用も非常に多いです。システムに運用を合わせるような準備が全然進んでいない。そういったところを含めて私は「デジタルトランスフォーメーション」を考えなくてはならないと感じています。

そういったことを教えてくれる人材や、そこに何かをサジェストするような人材が必要だと思います。自社のサービスを売りたいからこのシステムを入れた方がいいですよ、効率化できますよという提案はどこのITベンダーもしていると思いますが、まずはDXを実現するために、何から取り組むべきかを正しく伝えなければいけない。多少は自分たちのサービスを購入してもらう機会が先延ばしになったとしても確実にその会社にとって最適を考える営業ができて、ちゃんとそこに対して課題意識を持てるようなお客様が増えると、日本全体としてのDXはもっと進む気がしています。実際は手段を選ぶことを優先的にとらえていることが多いと感じます。そもそも「DX」は「何故したいのか」「何を目指すのか」が定まっていて初めて進むことだと思います。「デジタルトランスフォーメーション」という手段を用いて、実現したいことのために具体的にはどのようなことが必要か議論する。システムを検討して導入すること自体は結構末端のことだと思っています。ただ実際にはシステム導入が先行していることが多く、こういったケースにありがちなのは、担当と経営者の意向が合致していない、実際に使う現場と足並みが揃っていないといった状況が存在しています。お客様の社内で、システム検討や導入のもっとずっと前段階の目線合わせをするために、我々も何か手を差し伸べられたらいいなと思っています。

 

写真提供:jinjer株式会社

 

現状把握と何をしなければならないかのすり合わせ

 

——DX推進の鍵はどこにあるのでしょうか?

上田1番大切なことは客観的な現状の把握や現状理解だと思います。自社の状況や自分達の業界を把握をした上で、他の業界との差分を比較する。結局独りよがりになりがちであったり、業界によってはアナログがまだまだ多いです。例えばスマートフォンではなくてガラケーユーザーが多い業界もあります。なので自社や自分の業界が世の中と比較した時にどんな立ち位置にいるかを理解する。かつこれを把握した上で将来的な、例えば中期経営計画とかに即したシステムの検討、導入を行っていくことが必要だと考えています。業務改善だけではなくて、中長期を見据えたシステムの選定とか、情報のキャッチアップが大切です。これはもちろんベンダー側がユーザーに情報をわかりやすく伝えていくことも課題の一つではあるのですが、もっと日本全体で取り組むべき課題ではないかと感じています。とはいえ、我々にできることもまだまだあると思うので、積極的に取り組んでいきたいと思っています。特にアナログな会社にはまだまだシステムに対するアレルギーが結構あるのではないでしょうか。システムへのアレルギーがIT化の遅れの原因となっている気がします。そういったアレルギーをできるだけ解消していきたいですね。我々のようなベンダーが旗振りをしていく必要があると考えています。

三浦:システムベンダーの営業側としては「どんなことが成し遂げられれば、あなたにとって幸せですか?Goodですか?」というところを確認するようにしています。DXの推進には「Will・Can・Must」を整理する必要があると考えています。どこまでできるようになろうか、今できてるものはどんなことで、やらなきゃいけないところはどこまでなのかを分解して整理し、私とお客様との間で、共通認識を持つところから始めています。

例えば、「今、既に勤怠管理はシステム化されていますね(Can)。あとはここの連携ですね(Will)。既にこうやり始めているところが多いので、そこの事例を紹介させてもらいながら、どこまでしていきたいかを考えましょう」というような形で話すようにしています。今の仕組みに慣れてきていると、変えることに抵抗があると思います。ここをできるだけ変えない形でうまく連携できるような方法を探して行きましょうね、という寄り添い型で提案をしています。まずWillとCanは出てきて、Mustによっては我々の考えと一致している人もいれば、まだやらなくてもいいと思っている人がいるので、そこの「Must」を合わせていくことで、やらなきゃいけないよねという共通認識が持てる。あとはどうやろう、というところを合わせに行くだけだと思うんですよ。そこに対して担当者が「うん、いいね」となって初めてどうやって社内決裁をとりに行こうかという話に進めるので。あとはひたすら担当者と泥臭いプロセスを踏んで経営者に納得してもらうことなので、「Will・Can・Must」を合わせることは絶対に必要だと思います。これをやらずに進めて行くと、弊社には合わないんだとか、昔からそうやってきたからこのままで良いですと結局進まないことも多いです。

 

 

ベンダーインタビュー2022年3月号/jinjer株式会社三浦氏・上田氏 #4(最終回)へ続く

 

■バックオフィスクラウド「ジンジャー」

https://hcm-jinjer.com/

 

■jinjer株式会社 採用情報

https://jobs.jinjer.co.jp/

 

□取材協力:三浦颯太(jinjer株式会社)、上田大志(jinjer株式会社)

□文章・構成:藤本真央(jinjer株式会社)

 

□企画・運営・構成編集:株式会社cloverS

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