マネーフォワード特集の第4回(最終回)では現在、DX化に向けて中小企業が抱える解決すべき課題について、そして、森本氏が描く今後のビジョンについて話を聞いた。
ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #1
ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #2
ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #3
担当者のITリテラシー向上が課題
——中小企業でバックオフィスのDX化が進まない理由はどんなところにあるとお考えでしょうか?
課題の一つとして、ITリテラシーの高い人材が揃っていないことだと思います。以前、それほどIT慣れしていないユーザー様に、『マネーフォワード クラウド会計』をご提案し、導入していただいたことがあります。『マネーフォワード クラウド経費』との連携はニーズがあったので、こちらも併せてご提案してみたのですが、「『マネーフォワード クラウド経費』までの導入は難しい」とお受けいただけませんでした。「担当者がそこまで対応できない、本当に手取り足取り定着まで支援してもらえるならやれるかも知れない」とご相談いただいたのですが、定着するまで、張り付いてご支援するわけにも行かず、『マネーフォワード クラウド経費』の導入までには至りませんでした。経費精算は申請のワークフローを構築した上で、承認者、申請者、経理担当者と3者が関わる事なので、全社的な動きになります。窓口の方の力量や影響力にもよりますが、ITリテラシーがある程度あり、ITツールの導入に拒否感がない形で進めて行かないと中々定着、運用は難しいと思っています。
——確かに、多くの中小企業でのシステム導入は窓口の担当者頼みのところがあると思います。経営者トップダウン頼みだったり。やはりチーム全体で、組織全体で、リテラシーも含めた足並みがきちんと揃うことはとても重要ですね。
システム化やクラウドシステム推進の鍵は属人化を脱却すること
ITリテラシーの低さという原因以外に属人化が影響していると思います。経理担当者にパソコンやシステムを苦手とするベテランが多いとなかなかシステム化が進まない、新しいシステムを導入するのが難しいといったケースは多く見受けられます。長年業務を回しているベテラン勢がより専門的な知識を持っていて、しかも既存システムは昔ながらのシステムでUI/UXも初見の人からするとよくわからない、あるいはベテランメンバーしかそもそも業務がわかってない。そういったケースでは、ITリテラシーが比較的高い若い人が入社しても業務のことを理解できていないから、システムの入れ替えそのものが難しいと思います。
業務のことを熟知している方がシステムの切り替えに前向きじゃないし、業務のことがよくわからないから結局、検討だけして、2年〜3年何も変わらない等といったことが普通に起きていると考えています。
『マネーフォワード クラウド』の導入は属人化脱却につながる
——逆に、マネーフォワードのプロダクトを使うことは、属人化の脱却につながりますか?
それはできると思います。例えば『マネーフォワード クラウド会計』では機械学習機能があり、1回仕訳登録して仕訳ルールを設定しておけば、次回から金額や摘要で自動仕訳機能が正しい仕訳を判断します。仕訳処理が担当者の知識や経験任せになりません。引き継ぎにもなりますし、「あれこの処理どうやるんだっけ?」といったときにそのまま正しい仕訳を提案してくれるので、ミスも大幅に減ります。勤怠管理もそうですね。会社で複数の勤務体系がある場合、例えば人ごとに休憩の時間が異なっている会社もあります。Aさんは30分でBさんは1時間みたいなケースです。そういったルールを担当者しか知らないといったケースもシステムに落とし込むことによってそれが引き継ぎの資料そのものになったりすると思います。マネーフォワードのグループ会社が提供している『V-ONEクラウド』の入金自動消し込み機能もその一つですね。「このお客さんには個人名で振り込まれることがあるとか、手数料が引かれて入金される場合とそうでない場合」って、完全に担当者しか分からないみたいなことが会社内には多く存在します。そういった特殊事項やルールを整理し、事前にシステムに機械学習させることで、属人化を解消できるものだと思っています。
——マネーフォワードの製品を活用していくことがそもそも属人化を脱却させる鍵ということですね。非常に興味深いお話をありがとうございました。
パートナーとともに、IT化、DX化の推進を
——マネーフォワードさんの役割に、DX化推進があると伺いましたが、森本さんが描く今後のビジョンはどういったものでしょうか?
士業様とかcloverSの久堀様とかと一緒に『マネーフォワード クラウド』の導入支援を進めていきたい、というのが私の今後のビジョンです。cloverSさんの競合が増えちゃうかもしれませんが、そういうIT化、DX化を支援できる士業様をもっと増やしていくことが我々が取り組んで行くべきことだと思っています。自分たちで調べて自分たちで設定し自分たちで何でもできちゃうユーザー様はごく一部だと思うので、やはりITを苦手としているお客様や、「紙で伝票書いてます」「紙のタイムカードで集計しています」「パソコン触ったことありません」といった企業様はまだまだ普通にいますよね。「ブラウザの新しいタブでどうやって開いたらいいんですか」とか、システムを使う以前に、パソコン慣れしていない層の方々、そういう人たちに対してもしっかりとDX化が進むように、オフラインだとか、手厚いフォローとか、そういったものが必要になってくると思います。それはマネーフォワード単体では難しいことで、協力者であるパートナーのメンバーが必要不可欠だと思っています。
ユーザー様に寄り添ったサービスと導入に向けた充実したサポート体制
——ありがとうございました。最後にユーザー様や未来のユーザー様にアピールすべきことがあればお願いします。
当社のカルチャーの「ユーザーフォーカス」という言葉があるのでマネーフォワードはユーザー様に寄り添って、今後も開発導入サポートしていくと思います。今のユーザー様の声を元にいろんなサービスも開発しておりますし、必要に応じたサポートを行なっていければと思いますので、引き続き御贔屓いただければ嬉しいです。
これから『マネーフォワード クラウド』をご検討頂くお客様にはITツールを入れるのが不安とか、何から手をつけていいのか分からないという方が多くいらっしゃると思います。
マネーフォワードは士業パートナー様や、cloverSさんの様な導入支援事業者様等、多くの事業者様と関係を構築させて頂いています。マネーフォワードにはそういうパートナーがたくさんいることが強みとしてあります。しっかりとしたサポート体制で安心して導入ができますので、ぜひマネーフォワードをご検討ください。
森本崇暉 (モリモト タカキ)
株式会社マネーフォワード 東海支社 支社長
大学卒業後、金融機関にて法人営業を行う。 営業の際に多くの社長や経理担当者と交流する中で、日々の経理業務に忙殺されている実情を知る。経理業務の自動化や効率化が急務であると感じマネーフォワードへ入社。 入社後は、主に東海エリアの士業の先生と顧問先のバックオフィスの効率化・DXを支援している。
全4回にわたり、株式会社マネーフォワードと森本氏、そしてDXやIT化について、特集した。
CLSデジタルラボでは今後できるだけ多くのベンダーやプロダクトについて取り上げ、デジタル化、DX化を考える全ての人に向け情報を発信していきたいと考えている。こういったベンダーやプロダクトに関する情報が全ての企業のバックオフィスのデジタル化、DX化のきっかけになればと願ってやまない。
今回、取材にご協力頂いた、マネーフォワード森本様、ありがとうございました。
取材協力:森本崇暉(株式会社マネーフォワード)
監修協力:株式会社マネーフォワード
取材: 久堀駿介(株式会社cloverS)
編集:CLSデジタルラボ編集室(株式会社cloverS)
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