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特集

ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #3

シリーズの第3回ではDX推進について、データ連携の魅力やマネーフォワードクラウドの特徴、最新のマネーフォワードクラウドの事情について話を伺った。

ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #1

ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #2

 

DX化推進に向けた情報収集の活発化

 

——数年前よりもマネーフォワードさんの認知って進んできていると思いますが、最近のエンドユーザー様の動向であったり、ニーズがどういったところにあるのか教えてください。

パートナー様からのご紹介は現在も多く頂いているのですが、どちらかというと以前は「クライアントが会計システムを検討しているから、紹介をお願いします」といった相談や、「給与システムや人事労務周りに課題感があるのでマネーフォワードクラウドで解決できないか」といった比較的具体的な引き合わせが多かったと思います。

一方で、最近は中小企業庁のDXレポートやDX化等の「バズワード」の影響かわからないですが、クラウドシステムを様々ご検討頂く中で、「マネーフォワードクラウドを導入したらどのように変化するのかを教えて欲しい」といった、少しふわっとした全体感を重視した御相談が増えていると感じています。言い換えると、まだ具体的な課題感を直接感じていないけれど、情報収集のために話を聞いてみようと動く方が増えてきたと実感しています。個人的にはとてもいい傾向だなと思います。

 

DX化に必要なデータ連携の重要性

 

——なるほど、やはりDX化の世の中の流れに沿ったユーザーの動き(情報収集)が増えてきたんですね。そういった方々に向けてマネーフォワードクラウドをどのように紹介するのでしょうか?

ありきたりかもしれませんが、私はDX化の中で最も重要視されている、”データ連携”の部分をしっかりお話しています。

DXレポート等でも、そもそも「DX化」とは「デジタル化」「デジタライゼーション」更に先に進めた、「データを連携していくこと」、そして分析や効率化によって、生産性向上に繋がっていくという文脈があると思うんです。なので最近は会計システムや給与システム単体としてではなく、あらゆるサービスがデータで連携されて、シームレスに業務が進められるという点はしっかりと伝えるようにしています。これはマネーフォワードだからできるという話でもないと思うんですけど、改めてという意味で強調しています。

 

 

まだまだ活用しきれていないデータ連携

 

——データ連携は私もクラウドならではの強みがあると思いますが、より詳しく教えてください。

クラウドだからこそできるデータ連携はとても多いと思っています。例えば、クラウド会計であれば、インターネットバンキングとデータ連携をし金融機関の入出金データを取り込むことができます。クラウドのシステム同士が連携するのももちろんですが、給与や経費精算の際もインターネットバンキングと連携して振込業務ができるといったことが可能です。

 

業務の始まりから終わりまでをペーパーレス化の実現

 

業務の始めから終わりまでをペーパーレスに、つまり帳票類を毎回プリントアウトせずに、ボタン一つでシステム間のデータをやり取りし、業務を完結できるようになっていると思います。データ連携が出来ないシステムを使用していると最後の振込部分は手入力をしなければならない、手作業で金額を書かなきゃいけない等があると思うので、入口から出口までオンラインで完結できるという点をご理解頂くようにしています。もちろんオンプレミス型のシステムでもデータ連携ができる場合はあるのですが、実際にはその機能を使ってないケースがとても多いと感じています。クラウドだからという訳ではないですが、データ連携機能を活用できていないユーザー様にはクラウドツールに切り替えるタイミングでデータ連携を絶対活用していただいた方が良いということをお伝えしています。

——私もクラウドツールの導入支援を行う際、同パッケージの従来のオンプレミス型システムを利用している会社さんで、連携を活用していないケースを今まで多く見てきました。連携の利便性や重要性はまだまだ浸透していないと感じます。

 

 

 

クラウドシステムのデータ連携は他社システムとの連携も可能に

 
——森本さんのおっしゃるように、従来のオンプレミス型システムでもデータ連携は可能だと思いますが、マネーフォワードクラウドでは従来のオンプレミス型のパッケージ製品の連携と比べてどういったメリットがあるとお考えでしょうか?

オンプレミス型のシステムの場合、同パッケージ間のプロダクトは連携しやすい一方で、製品パッケージが異なると連携できないケースが多いと感じています。クラウドサービスの場合、全般的に他社のシステムとの連携に対してもかなり積極的だと思っています。

例えばユーザー様にとって、「もしかしたら勤怠管理はマネーフォワード以外のツールが合うもしれない」「請求管理は別の会社のシステムが既に活用されている」というような場合に、連携できる可能性があるということは、選択肢が拡がるといった観点からクラウドを選択することはすごく意味があるのではないでしょうか。

 

——システム間連携のイメージは使用していないユーザーからすると、どのような価値があるのかイメージがわきにくいものではないかと思いますが、そのあたりをどのようにユーザーに理解してもらうのでしょうか?

どうしても言葉だけだと伝わらないことも多いので、私は会計のAPI連携、金融機関のネットバンキングの連携のデモを見て頂き、これが連携の代表例です、という形で説明しています。

 

 

ポストモダンERPの実現に向けて

 

——先ほど、マネーフォワード以外のクラウドツールとの連携の話が出ましたが、最近ではマネーフォワードのプロダクトは会計、経費、人事労務、給与、勤怠等かなり充実している印象があります。それでも外部のプロダクトとの連携はまだまだ必要なのでしょうか?

弊社の方針としてポストモダンERPを目指しているという点があります。将来的には「マネーフォワードを導入いただけたら全部カバーできますよ」「ERPで導入できます」というものを目指していますが、ひとつひとつのシステムがどんなビジネスにもマッチする完璧な形に作り上げられるのは大変な時間と労力がかかると思います。

例えば『マネーフォワード クラウド勤怠』はリリース以降様々なバージョンアップや機能追加によりある程度網羅性のある勤怠管理システムになってきたと自負しています。しかし、勤怠管理システムを昔から提供している他社ベンダーのシステムの中には『マネーフォワード クラウド勤怠』よりも幅広いオペレーションをカバーできるシステムもあります。全てのプロダクトがそういった先駆けのベンダーが提供しているシステム以上のものになるまでにはどうしても時間がかかります。だからこそ、様々な外部システムと連携ができるようにし、ユーザー様が不自由なく利用できる状態を整えていく必要があると考えています。実際には連携可能と謳っているツール同士でも、重要な項目が連携できる仕様になっていないなど。まだまだ多くの課題が存在していると思います。

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画像提供:株式会社マネーフォワード

 

 

人事労務、給与、勤怠のシステムの充実

 
——最近の『マネーフォワード クラウド』のプロダクトについてお話をお聞かせ頂けますか?

私自身が労務周りのツールを比較的得意としているので、労務周りの話がメインになりますが最近は人事労務系のプロダクトが充実してきたと感じています。以前から『マネーフォワード クラウド給与』はご好評頂いており、他社の勤怠管理システムとの連携を強みにしていましたが、一昨年、『マネーフォワード クラウド勤怠』をリリースしました。『マネーフォワード クラウド勤怠』ではユーザー様目線の画面周りになっており、UI、UXをとても重視しているものとなっています。

さらに、勤怠に限らず、『マネーフォワード クラウド給与』ではチュートリアルがとても充実しています。どこのベンダーさんでも30日間のお試しを設けていることは多いですが、実際に何から始めればいいかといったことが見えにくいことが多いです。チュートリアルが充実していることで、ユーザー様にとって取り掛かりやすいものとなっており、ユーザー様目線に立ったサービスが特徴的だと感じています。

——確かに、人事労務周りは、勤怠、給与、労務手続きを始め、デジタル化、DX化の宝庫ですね。未だに多くの企業では紙帳票を中心とした実務が行われており、勤怠管理システムと給与計算システムの導入により、インパクトのある効率化が実現するケースは非常に多いです。ちなみに、『マネーフォワード年末調整』がリリースされました。以前から『マネーフォワード クラウド給与』を使っていたユーザーの反応はいかがでしょうか?

今まで使っていたユーザー様からすると、『マネーフォワード クラウド給与』内の機能としてあった方がわかりやすいといった声は多く有りました。しかし、逆に言えば、あの一つのボタンで完結するレベルの機能しか、かつては搭載できていませんでした。『マネーフォワード クラウド給与』から切り出されたことによって、多くの機能が追加されています。それは実際に見ていただくとわかるように、従来できなかった操作が多数できるようになっています。その代表的な例でいえば、昨年までの年末調整は最終的にL-Tax、e-Taxに連携をする必要が有りました。そういったところがプロダクトだけで完結できるようになったことは大きいと思います。

 

ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #4(最終回)に続く

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