シリーズの第1回ではマネーフォワード東海支社長の「森本氏について」と「マネーフォワードとはどんな会社なのか」について話を伺った。
ベンダーインタビュー2022年2月号/株式会社マネーフォワード森本氏 #1
第2回では、「マネーフォワードの社会的な役割」「マネーフォワードだからできること」そして、「DXとは」について森本氏の意見を伺った。
「DXを進めること」が自分らの役割
——森本さんから見て、マネーフォワードさんの社会的な役割はどんなところにあるとお考えですか?
私のいるクラウド推進事業部に限定した話にはなりますが、一言でいうと「DXを進めること」だと考えています。中小企業庁が発したDXレポートでも「2025年の崖」が取り上げられていました。団塊世代の引退とともにレガシーシステムを使っている企業は保守サポートや人材難で苦境に陥るといったものでした。その中で、デジタル化、IT化、デジタライズ化にとどまらず、情報をデジタル化した上でさらに連携し、活用し、ビジネス自体を活性化させるDXが求められるようになりました。一方で、愛知県をはじめ、各地方地域ではまだまだデジタル化すら行われていない、紙媒体がとても多いと言った実態を多く見ています。しかし来年より始まる電子帳簿保存法では、「デジタルで取得した帳票類はデジタルで保管してください」といった義務化もあり、これからの時代は「企業はIT活用することが企業経営の中で必須事項である」というメッセージ性が込められていると思います。でも実際にはパソコンすら会社に置いていないという企業がまだ多く存在しています。それをしっかりと手助けしフォローしていく、これからの「デジタル化、DX化で困っている人々を支援する」それが我々の役割だと思っています。
DXとは中小企業が生き残るための手段
——ちなみに森本さんが考えるDXとはどのようなものでしょうか?
正直、DX化をしなくてもビジネスは成立することはあると思います。手書きの帳票を使用していても、経営活動に支障がなければ、現時点ではその企業にとって何も問題ではないかもしれません。ただ私が考えるDXとは「中小企業が生き残るための手段」だと考えています。
例えば、銀行の融資を受けるために手書きで伝票を一生懸命記帳し帳票を整理する。これを経営者や財務担当者が実際に手作業で行っているとしたら、作業にかける手間と時間は組織的にとても大きな損失です。クラウドシステムを活用することによってこれらのコストを削減できれば、経営者や財務担当者はもっと有意義なことに時間を使えるようになりますし、リソースの投資先もより良い選択を行えるようになります。情報をシステムに蓄積することによって、様々な経営の見える化が実現し結果的にコスト削減に繋がる。そういった観点から、DXは企業が進化する術だと感じています。逆にそれができていないということは無駄なリソースに大切な資金を投入しているとも言えます。
クラウドを活用することは組織を活性化することに繋がる
——従来のシステムはオンプレミスのものも多いですが、マネーフォワードさんが取り扱っているシステムは全てクラウドだと思います。森本さんから見たクラウドシステムってどんな特徴や利点があるのでしょうか?
従来型のオンプレミスのシステムも良いところはあると思いますが、私は100%クラウド派です。クラウドツールを活用することは組織が活性化することに繋がると考えています。
例えばチャットアプリだど営業担当と事務員がリアルタイムで連携が取れたり、マネーフォワードのシリーズでも、いままで本社で会計処理していたとか、経費精算の手続きをしていた有能な方が(有能な人ほどそういった実務を任されることが多い)クラウドツールを活用することで、本社にとどまらず現場・営業店への配置転換してマネジメントをしてもらうようなことが可能になると思います。従来のオンプレミスのソフトがベースだと人の移動の際にパソコンも一緒に持っていかなければならないことが有りました。ノートPCならともかく、事務所のデスクトップPCを使用している場合は非常に動きにくいこともあり、結局は有能な人材が本社にとどまるしかないということになるのですが、クラウドツールを活用している場合だとノートパソコン1台あれば今までの業務を営業店などの本社以外の場所で作業することができる。有能な人が動きやすくなり、組織にはプラスに働くのではないでしょうか。ありきたりな言葉で言えば「場所を選ばない」ということなのですが、それを掘り下げていくとクラウドを活用することで、優秀な人材が一か所にとどまることなく、結果的に組織活性に繋がると私は考えています。
——確かに、エンドユーザー様の中では従来型のオンプレシステムでは決まったPCしかアクセス出来ないシステムを使ってらっしゃるケースも多く、そういった先にクラウドツールを導入すると、事務所の全てのPCからシステムにアクセスができるようになったと感動されることが有ります。
そうですね。そういったことも含め、私はクラウドツールの活用が組織活性に繋がると考えています。
システムだけでなくマニュアルがアップデートされるのはクラウドツールの大きな強み
他にもユーザー様向けのマニュアルもクラウド系のサービスは充実していると思っています。これだけ時代も人も変わっていく中で、当然システムには常にバージョンアップが求められます。お客さんのニーズに合わせてクラウドサービスはどんどん変化するのが私はとても良いと思います。極端な例ですが、あるオンプレミス型のシステムで何か分からないことがあったときにサポートページを開くと、最終更新が数年前のマニュアルが数百ページのPDFで公開されており、必要なページを1ページ目の目次等から探す必要があるといったことがあります。クラウドサービスでは常にユーザー様が使いやすいように、その画面ページに関するサポート画面が充実していたり、チャットサポートによりその画面上で直接問い合わせができるといった特徴が有るのもユーザー様にとって大きな利点だと感じています。
——オンプレミス型のシステムでは、ソフトのアップデートの度にバックアップを取り、その都度バージョンアップをする必要がありましたが、そういった作業をしなくて良い(基本的にベンダー側で自動的にバージョンアップをしてもらえる)というのはユーザー様にとって大きいですね。
実際に拠点に人がいる。ユーザー様の近くでサポートができる体制が強み
——次に、他社さんのサービスと比べて、マネーフォワードさんのサービスにはどのような特徴があるとお考えですか?
私はマネーフォワードのシステムはすごいと思っていて、とくにマネーフォワードクラウド会計の金融機関情報やカード情報を自動連携してくるのは革命的だったなぁと思います。すごい開発力だと思っているのですが、こういった機能は既に多くの他社さんが提供している製品にも搭載し、一般的な機能になりつつあります。今後も様々なものと連携するツールを提供するベンダーさんは増えてくると思っています。結果的には機能面は追いついてくるものなのかなと認識しています。
我々が東海支社に拠点を持っている理由は、サポートをもっとやっていかなくてはならないと考えているからです。クラウドツールを提供しているベンダーさんはサブスクリプション型で基本料金が比較的安価なのでなかなか各地域に拠点が置けないとか、東京や大阪などの比較的大きな都市部にだけ拠点がある、拠点があっても常駐してないという会社が多くあります。しかし、マネーフォワードの東海支社では5人程度の常駐メンバーをおいています。何かあれば現地に駆け付けてサポート対応が可能な体制にあるということ。実際に同エリアのお客様の声を直接聞くことができる。お客様のことをよく知ることができる。そういったことが、まだまだ足りないかもしれないですが、そのような体制があるということが他社さんと比較した時のマネーフォワードのサービスの強みではないでしょうか。
画像提供:株式会社マネーフォワード
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